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ワクチンプログラムMedical and Scientific Committee

アスリートワクチンプログラムほとんどの競技者は、乳児期から各種ワクチンを定期接種もしくは任意接種として受け、さまざまな感染症を予防してきているが、その効果は年齢とともに低下する。また、小児期のワクチン接種予定日に体調不良など、なんらかの理由でワクチン接種を受けていない競技者が少なからず存在する。アスリートワクチンプログラム(以下、本プログラム)は、日本カーリング協会が派遣する国際競技大会において、日本代表選手それぞれが充分なパフォーマンスを発揮するために必要な健康保持に関する基本となるものである。さらに、日本代表選手はチームジャパンの一員として、また国際人の一人として、他の競技者の健康にも配慮しなければならない。
 本プログラムは日本カーリング協会が派遣する日本代表選手を念頭に置いているが、競技者が海外の競技会に参加することが当たり前の時代であるため、海外遠征を行なうチームにおいても本プログラムを参考にしていただきたい。また、帯同する役員についても選手同様、ワクチン接種を勧める。

総論

1.目的    
予防できる感染症に対して具体的な予防対策を立てることにより、選手のパフォーマンス維持に資する。 

2.到達目標  
選手が、①適切なワクチンを適切な時期に適切な回数受けること、②必要と認められた場合、ワクチンの効果を高めるために追加接種(ブースター)を受けること、を到達目標とする 

3.接種時期  
 適切な回数を実施するのに、半年程度かかることがあるため、派遣直前になってあわてないように平素より準備しておく ことが勧められる。ワクチン接種は時間的ゆとりを持って行なえば、練習や競技日程を妨げることはない。 

4.接種日程  
不活化ワクチンは接種後6日間、生ワクチンは接種後27日間の間隔を空けて次のワクチンを接種する。医師が特に必 要と認めた場合には、複数のワクチンを同時に接種することができる。同時接種は世界のスタンダードとなっており安全性、有効性は確立されている。  

5.副反応  
ワクチンを接種した場合、接種後2日以内に局所の痛みや発赤がでることがある。生ワクチン接種では、接種後1週前後に発熱、倦怠感などの副反応がでることがある。また、無菌性髄膜炎、接種直後のアナフィラキシーショックも稀にある。  

6.ワクチン接種時のリスクマネジメント 
下記につき、対応を十分に行なう。
1) 選手側の問題、接種医側の問題(問診の重要性)、ワクチンそのものの問題
2) 副反応発生時の対応:医師の過失がない場合、任意接種での副反応発生時には、医薬品医療機器総合機構法による救済制度を利用できる。 

7.接種の義務    
ワクチン接種については、義務ではなく任意である。しかしながら、予防できる感染症に対するワクチン接種は、チーム内 での感染症発症や増悪を予防し、かつ個人の疾病予防対策となるため、できるだけ多くの選手がワクチン接種を受け ることを勧める。 

8.費用負担  
ワクチン接種に当たっての費用は原則的に個人負担である。 

9.TUE申請  
ワクチン接種はドーピング防止規則違反ではないので、TUE申請は不要である。

各論 

1.接種を強く推奨するワクチン  
インフルエンザと麻疹は集団レベルの予防策として、破傷風、A型およびB型肝炎は個人レベルの予防策として接種を強く推奨する。 

1) インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)
インフルエンザの予防策は、手洗い、うがい、人ごみにでない、咳をしている人の近くに寄らないなどの日常の注意と、インフルエンザワクチンの接種を受けることである。通常は、インフルエンザワクチンを10月から11月にかけて毎年1回接種する。 

2) 麻疹ワクチン(生ワクチン)   
麻疹は感染力が非常に強い麻疹ウィルスにより発症する。一度かかると終生免疫がつく。通常は小児期に麻疹・風疹混合ワクチンを2度受けている。成人で麻疹に罹る例もあるため、麻疹に罹ったことがない、ワクチン接種を受け たことがない競技者は早めに予防接種を計2回受ける(4週間あける)べきである。平成20年度からは5年間13才または18才の方に接種が法律で義務づけられた。血液抗体検査で麻疹 IgGが8.0未満の場合も、接種を受けるべきである。  

3) 破傷風トキソイド(不活化ワクチン)
破傷風は土の中の破傷風菌が体内に入り、産生された毒素により、けいれんが出現し、呼吸困難となり死亡する疾患である.小児期に3種混合ワクチンを受けているが、その効果は20才前後で消えるとされる。アウトドアスポーツの技者に推奨される。 

4) A型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)
A型肝炎は調理不十分な食事や汚染された水を飲むことなどにより感染する。選手のほとんどは未感染状態であるため、免疫をつけるため3回のワクチン接種を必要とする。(初回、2回目は初回から2〜4週間後、3回目は初回から24週間後)。 日本では16才以上を接種対象としている。 

5) B型肝炎ワクチン(不活化ワクチン)
B型肝炎の主たる感染経路は、血液・体液を介する経路と、性行為による経路である。十分な免疫をつけるためには3回のワクチン接種を必要とする。(初回、2回目は初回から4週間後、3回目は初回から24週間後)  

2.接種を推奨するワクチン  
狂犬病ワクチン(不活化ワクチン)
狂犬病は狂犬病ウィルスに感染したイヌ、ネコ、こうもりなどに噛まれると感染する。免疫をつけるために3回のワクチン接種を必要とする(初回、2回目は初回から4週間後、3回目は6ヶ月〜1年後)。有効期間は2年で、2年毎に1回ブ ースター接種を行なう